【失語症】ロゴジェンモデルの音韻照合、入力音韻辞書とは?【聴覚的理解】

ロゴジェンモデル

このページでは、ロゴジェンモデルの
音韻照合と入力音韻辞書について
説明を行います。

要点

✔︎ 音韻照合とは、聴いた音声が
 日本語50音のどれに当てはまるかを
 照らし合わせる処理

✔︎ 入力音韻辞書とは音韻照合の際に
 参照されるリストのこと

✔︎ 音韻照合・入力音韻辞書の障害を
 音韻聾と呼ぶ

✔︎ 音韻聾では、復唱や書き取りなど
 聴覚系の処理が苦手になる

音韻照合とは

単語の聴覚的理解において、
音響分析
(=語音の音色を正しく聴き取る)の後に
行われる処理です。

小嶋は語音認知には、弁別と認知の2段階があると述べており、
音響分析は、「弁別」の段階
音韻照合は、「認知」の段階
と述べています。

つまり、
/ta/と/ka/が同じか否かを
聴覚的に判断するのが音響分析能力


/ta/が/ta/であると認知されるのが、
音韻照合の段階です。

入力音韻辞書とは

音韻照合をする際に、
参照されるリストのことを
入力音韻辞書と呼びます。

音韻聾とは

聞き取った音の音色を
日本語の50音と照らし合わせることが
できなくなる障害です。

正しい音韻照合には、
正しいリストに、
正確に音を照らし合わせる作業が
必要です。

そのため、障害されるとなると
次の3つが考えられます。

✔︎ 照らし合わせる処理が苦手になる場合
(音韻照合の障害)

✔︎ リストが壊れている場合
(入力音韻辞書の障害)

✔︎ 両方が障害される場合

これらは厳密に区別されておらず、
私の調べた中では
評価方法もないようです。

そのため、
「音韻聾」というのは
音韻照合もしくは
入力音韻辞書が障害されていると
考えてよさそうです。

音韻聾の検査法

✔︎非語の復唱が可能であれば、
 音韻照合の障害は否定的。
(非語の復唱は音韻照合+音韻選択に
強い負荷がかかる課題であるため)


✔︎単音(音声)と仮名(漢字、絵)の
 マッチングが不良で障害の可能性あり

✔︎単語の復唱が可能でも、
 正常であると判断はできない。
(軽度の音韻聾ならば、単語の復唱が可能な場合がある)

✔︎ SLTAの仮名1文字の選択が全問正答なら
 良好の可能性が高い
(誤答でも障害があるとは言い切れない)

✔︎SLTA仮名1文字の音読ができるが、
仮名1文字の理解が不良
→障害ありの可能性が極めて高い

音韻聾の訓練法

単音と仮名文字(漢字、絵)の
マッチング

仮名文字と単音のマッチングの課題が
できれば、それが効率的だと思います。

ただし、失語症者の方で、
仮名文字自体の理解が乏しい方も
多いですよね。

そのような方には、
単音と絵や漢字を使って
音韻照合の課題をしてみては
いかがでしょうか。

具体的には下記のような課題です。

私の担当患者様は、
仮名では音韻照合課題ができませんでした。
しかし、この課題は100%の正答率でした。

そのため、音韻照合の障害は
否定的だと考えることができました。

ミニマルペアを用いた聴理解

ミニマルペアを使った聴理解課題は、
結果的に音韻照合の訓練になり得ると
言われています。

この課題も、
仮名文字を使わなくて良いので、
比較的どの失語症者の方でも
実施がしやすいです。

異なる人の音声で単音の異動弁別

例)
男声:/ka/、女声:/ka/ → ○
男声:/ta/、女声:/pa/ → ×


男性と女性、AI音声など
それぞれで/ka/の音色は異なるのに
なぜ私たちは、いろんな周波数の/ka/を
/ka/だと認知できるのでしょうか?

それは、
脳内で/ka/の枠組みが創られているからだと
言われています。

音韻照合が苦手な方には、
この枠組みが不充分な可能性があります。

そこで、
男性や女性の単音を聴かせ
異動弁別を行うことで、
音韻照合の訓練になり得るのです。

おわりに

今回は音韻照合についての説明でした。
仮名文字でのリハビリができれば
苦労はないのですが、
仮名文字のリハビリは難易度が高いです。

ぜひ、
ミニマルペア、漢字、絵、いろんな音声を
使って音韻照合の訓練をしていただければと思います。

ここまでお読みくださり、
ありがとうございました。


下記に参考書籍を載せておきます。
気になる方はお手に取ってみてください。

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