【小嶋】認知神経心理学的モデルの語彙選択とは?【失語症】

ロゴジェンモデル

このページでは、
ロゴジェンモデルの
語彙選択について
説明を行います。

後半は、
語彙選択の障害に特化した
訓練方法の紹介です。

要点

✔︎ 出力語彙辞書とは、
 単語の大枠が載っているリストのこと
 
✔︎ 語彙選択とは、出力語彙辞書にある
 言葉の大枠リストの中から、
 適切な単語を選び出す処理

✔︎ 語彙選択の障害では、親密度による
 呼称の正答率にて差が出ない

出力語彙辞書と語彙選択の違い

出力語彙辞書とは、
単語の大枠が載っているリストのこと

単語の大枠とは、
・モーラ数
・イントネーション
・大体の漢字イメージ
・語頭音など

語彙選択とは、
出力語彙辞書にある言葉の大枠リストから、
適切な単語を選び出す処理という


この2つを分けて考える理由は、
出力語彙辞書の障害と
語彙選択の障害では、
出現する症状や訓練法が異なるから!

この記事では、
出力語彙辞書の障害を
説明していきます!

語彙選択の障害で
見られる症状

呼称で出力語彙辞書や
語彙選択の障害がある場合には、
以下のような症状を認めます。

出力語彙辞書や語彙選択の障害の症状

呼称において
・無反応
・tip of the tongue
・迂言
・意味性錯語
・形式性錯語



ポイントになるのは、
親密度(頻度)による正答率の変化です。

出力語彙辞書の障害では、
頻度効果が出現します。
高頻度語は正答率が良く、
低頻度語の正答率が悪くなります。

また、誤り方の一貫性も出現します。
つまり、正答する単語はよく正答し
誤る単語のよくエラーするということです。

一方で
語彙選択の障害では、
頻度効果が出現しません。

誤り方の一貫性も出現しません。


⚠️ここからの説明は⚠️
⚠️私のイメージです⚠️

なぜ語彙選択の障害では、
頻度効果や正答誤答の一貫性が
出現「しない」のか妄想してみました。


私のイメージでは、
語彙選択は辞書を引く動作を指しています
健常の場合
語彙選択はスムーズにできる。
つまり、
辞書を「素早く」「間違わずに」
引けることになります。


語彙選択の障害になると
辞書を引くのが下手になります。

病前によく使っていた言葉でも
あまり使っていなかった言葉も関係なく、
辞書を引く動作を間違えてしまうのです。

つまり
頻度効果は出現しません。

このことから
高頻度語と低頻度語とも
正答率は変わらないということが
起こり得るのだろうと私は考えています。

正答と誤答が一貫性がないのは、
辞書を引く行為が下手だから
ある時は正答するし、
ある時には誤答するのだろうと
考えています。

という理屈ではないか?
とイメージをしています。

少しでも
理解が進んでくださると
嬉しいです。

⚠️ここまでの説明は⚠️
⚠️私のイメージです⚠️

語彙選択の検査法

✔︎ SLTAの呼称課題
 高親密度から低親密度の単語あり、
 スクリーニングとしては使える

✔︎ TLPAの名詞表出検査
 詳細に検査したい場合にはコレ!

TLPAの名詞表出検査とは

高親密度/低親密度
高心像語/低心像語
を調整した単語を呼称していただく課題

親密度の差があれば、
出力語彙辞書の障害を疑う

親密度の差がなければ
語彙選択の障害を疑う

心像性の差があれば
意味システムの障害を疑う

語彙選択の障害の訓練法

語彙選択の障害がある場合、
・漢字の選択課題
・語形呈示の意味セラピー
・定義文を用いた意味セラピー
・迂言を用いての呼称訓練
・音韻セラピーでの呼称訓練
をしてみてはいかがでしょう

漢字の選択課題

絵を見せて、漢字を選択する課題

「なるほど失語症」にも紹介されています

私は、いちいち漢字を並べるのが面倒なため
デジタル教材で行なっています。

ポインティングのみで実施可能なため、
音声での表出が重度の方でも
実施が可能
です。

語形呈示意味セラピー

単語の語形を音声や文字で提示し、
イラストの1/6選択する課題です。


海外の文献では、
・訓練語は3日間のみ有意な改善あり
・その効果は3日以上は維持されず

と紹介されています。

訓練方法

1 音声単語と絵のマッチング
・1/6選択
 目標語1語、
 同カテゴリー語3語、
 無関連語2語で構成

2 文字単語と絵のマッチング
・実施方法は1と同じ

3 意味判断
 絵を見せながら意味を提示して
 yes/noで回答していただく
 例)
 りんごを見せながら
 「これは果物ですか?」

 冷蔵庫を見せながら
 「これは体を洗う道具ですか?」

①、②の訓練については、
私が自作したデジタル教材でも
代用が効きます⬇️


定義文の意味セラピー

定義文を提示し、
絵とマッチングする訓練法

海外の文献では
・訓練語の呼称の改善は認めなかった
・絵の説明課題で情報伝達能力に改善あり

と紹介されている。

訓練方法

① 定義文の音声刺激と絵のマッチング
・1/6選択で実施
 目標語1語
 同カテゴリー語3語
 無関連語2語

② 定義文の文字刺激と絵のマッチング
 ・①と同じ

③ 意味判断
 前述を参考

単語の定義文をその都度考えるのって
大変ですよね?
単語の定義文を紹介している
教材サイトがありますので、
載せておきますね

無料教材サイト「ことばの小箱様」

 迂言を用いた呼称訓練

呼称が成功するまで、
ひたすら迂言を求める訓練法

海外の文献では
・非訓練語の有意な改善をわずかに認めた
・エラーの質が変化した
 無関連エラーが減り、
 視覚的や意味的エラーが増加
・セラピー後に迂言表現が増えなかった
 →迂言表現により意味が改善し、
 語彙表象へのアクセスが活性化した
 可能性があると考察

と紹介されている。

訓練方法

① 呼称に成功するまで迂言表現を求める

② 誤反応に対しては
 患者が述べた情報をSTが言い直しつつ
 口頭で強化する。

③ 音韻のヒントは控えめに与える。
 STは正しい名称は与えない。

音韻セラピーでの呼称訓練

モーラ数や語頭音を自ら考えることで
呼称を行いやすくする訓練法


海外の文献では
・訓練語と非訓練語において有意な改善あり
・この効果は8週間は維持されていた
・ご家族は会話が楽になったと話された
・患者自信が「話すのに自信が持てた」と発言
・自己ヒント能力は向上していないが、
 呼称能力は向上しているため、
 語彙選択能力の向上だと結論づけた

と紹介されている。

訓練方法

4段階で構成されている

① 絵を示し、
 単語のモーラ数を指さしで答える

② 絵を示し、
 語頭音を仮名文字から1/2選択する

③ 1を行った後
 2を1/6選択で行う

④ 3を行ったあと、
 自己へのヒントとして
 語頭音を言い、呼称へつなげる

おわりに

今回は、
語彙選択について説明しました。

この障害により
呼称にて無反応や
tip of the tongueなどが出現します。

評価のポイントは、
親密度による差があるかないか
です。


ここまで読んでいただき
ありがとうございました。

下記の書籍を参考にさせていただきました。
読みやすい本ばかりですので、
気になる方は手に取ってみてください。

\まずはここから/


\なるほど失語症との親和性抜群/

\症例や訓練法が多彩/



今回紹介させていただいた
デジタル教材について
詳しく知りたい方や興味がある方は
下記からどうぞ。



スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました