このページでは、
ロゴジェンモデルの
語彙選択について
説明を行います。
後半は、
語彙選択の障害に特化した
訓練方法の紹介です。
![](https://st-ta-output.com/wp-content/uploads/2022/10/6B2DDF0F-080C-4612-BA7E-7E931A839BE4-300x245.jpeg)
✔︎ 出力語彙辞書とは、
単語の大枠が載っているリストのこと
✔︎ 語彙選択とは、出力語彙辞書にある
言葉の大枠リストの中から、
適切な単語を選び出す処理
✔︎ 語彙選択の障害では、親密度による
呼称の正答率にて差が出ない
出力語彙辞書と語彙選択の違い
![](https://st-ta-output.com/wp-content/uploads/2022/09/5E01E61D-B269-4DEB-96DC-F435C85E5791-300x300.jpeg)
出力語彙辞書とは、
単語の大枠が載っているリストのこと
単語の大枠とは、
・モーラ数
・イントネーション
・大体の漢字イメージ
・語頭音など
語彙選択とは、
出力語彙辞書にある言葉の大枠リストから、
適切な単語を選び出す処理という
この2つを分けて考える理由は、
出力語彙辞書の障害と
語彙選択の障害では、
出現する症状や訓練法が異なるから!
この記事では、
出力語彙辞書の障害を
説明していきます!
語彙選択の障害で
見られる症状
![](https://st-ta-output.com/wp-content/uploads/2022/01/F73FAFB7-C65D-44FF-8453-2BF538482B22-300x300.png)
呼称で出力語彙辞書や
語彙選択の障害がある場合には、
以下のような症状を認めます。
呼称において
・無反応
・tip of the tongue
・迂言
・意味性錯語
・形式性錯語
ポイントになるのは、
親密度(頻度)による正答率の変化です。
出力語彙辞書の障害では、
頻度効果が出現します。
高頻度語は正答率が良く、
低頻度語の正答率が悪くなります。
また、誤り方の一貫性も出現します。
つまり、正答する単語はよく正答し
誤る単語のよくエラーするということです。
一方で
語彙選択の障害では、
頻度効果が出現しません。
誤り方の一貫性も出現しません。
⚠️ここからの説明は⚠️
⚠️私のイメージです⚠️
なぜ語彙選択の障害では、
頻度効果や正答誤答の一貫性が
出現「しない」のか妄想してみました。
私のイメージでは、
語彙選択は辞書を引く動作を指しています
健常の場合
語彙選択はスムーズにできる。
つまり、
辞書を「素早く」「間違わずに」
引けることになります。
語彙選択の障害になると
辞書を引くのが下手になります。
病前によく使っていた言葉でも
あまり使っていなかった言葉も関係なく、
辞書を引く動作を間違えてしまうのです。
つまり
頻度効果は出現しません。
このことから
高頻度語と低頻度語とも
正答率は変わらないということが
起こり得るのだろうと私は考えています。
正答と誤答が一貫性がないのは、
辞書を引く行為が下手だから
ある時は正答するし、
ある時には誤答するのだろうと
考えています。
という理屈ではないか?
とイメージをしています。
少しでも
理解が進んでくださると
嬉しいです。
⚠️ここまでの説明は⚠️
⚠️私のイメージです⚠️
語彙選択の検査法
![](https://st-ta-output.com/wp-content/uploads/2022/09/B7DB6A8F-16C3-401A-BEF5-97696C69D929-300x207.jpeg)
✔︎ SLTAの呼称課題
高親密度から低親密度の単語あり、
スクリーニングとしては使える
✔︎ TLPAの名詞表出検査
詳細に検査したい場合にはコレ!
高親密度/低親密度
高心像語/低心像語
を調整した単語を呼称していただく課題
親密度の差があれば、
出力語彙辞書の障害を疑う
親密度の差がなければ
語彙選択の障害を疑う
心像性の差があれば
意味システムの障害を疑う
語彙選択の障害の訓練法
![](https://st-ta-output.com/wp-content/uploads/2022/09/2817B444-A9E0-4C93-8FAA-F7A9B3D27AB9-300x240.jpeg)
語彙選択の障害がある場合、
・漢字の選択課題
・語形呈示の意味セラピー
・定義文を用いた意味セラピー
・迂言を用いての呼称訓練
・音韻セラピーでの呼称訓練
をしてみてはいかがでしょう
漢字の選択課題
絵を見せて、漢字を選択する課題
「なるほど失語症」にも紹介されています
私は、いちいち漢字を並べるのが面倒なため
デジタル教材で行なっています。
ポインティングのみで実施可能なため、
音声での表出が重度の方でも
実施が可能です。
語形呈示意味セラピー
単語の語形を音声や文字で提示し、
イラストの1/6選択する課題です。
海外の文献では、
・訓練語は3日間のみ有意な改善あり
・その効果は3日以上は維持されず
と紹介されています。
1 音声単語と絵のマッチング
・1/6選択
目標語1語、
同カテゴリー語3語、
無関連語2語で構成
2 文字単語と絵のマッチング
・実施方法は1と同じ
3 意味判断
絵を見せながら意味を提示して
yes/noで回答していただく
例)
りんごを見せながら
「これは果物ですか?」
冷蔵庫を見せながら
「これは体を洗う道具ですか?」
①、②の訓練については、
私が自作したデジタル教材でも
代用が効きます⬇️
定義文の意味セラピー
定義文を提示し、
絵とマッチングする訓練法
海外の文献では
・訓練語の呼称の改善は認めなかった
・絵の説明課題で情報伝達能力に改善あり
と紹介されている。
① 定義文の音声刺激と絵のマッチング
・1/6選択で実施
目標語1語
同カテゴリー語3語
無関連語2語
② 定義文の文字刺激と絵のマッチング
・①と同じ
③ 意味判断
前述を参考
単語の定義文をその都度考えるのって
大変ですよね?
単語の定義文を紹介している
教材サイトがありますので、
載せておきますね
無料教材サイト「ことばの小箱様」
迂言を用いた呼称訓練
呼称が成功するまで、
ひたすら迂言を求める訓練法
海外の文献では
・非訓練語の有意な改善をわずかに認めた
・エラーの質が変化した
無関連エラーが減り、
視覚的や意味的エラーが増加
・セラピー後に迂言表現が増えなかった
→迂言表現により意味が改善し、
語彙表象へのアクセスが活性化した
可能性があると考察
と紹介されている。
① 呼称に成功するまで迂言表現を求める
② 誤反応に対しては
患者が述べた情報をSTが言い直しつつ
口頭で強化する。
③ 音韻のヒントは控えめに与える。
STは正しい名称は与えない。
音韻セラピーでの呼称訓練
モーラ数や語頭音を自ら考えることで
呼称を行いやすくする訓練法
海外の文献では
・訓練語と非訓練語において有意な改善あり
・この効果は8週間は維持されていた
・ご家族は会話が楽になったと話された
・患者自信が「話すのに自信が持てた」と発言
・自己ヒント能力は向上していないが、
呼称能力は向上しているため、
語彙選択能力の向上だと結論づけた
と紹介されている。
4段階で構成されている
① 絵を示し、
単語のモーラ数を指さしで答える
② 絵を示し、
語頭音を仮名文字から1/2選択する
③ 1を行った後
2を1/6選択で行う
④ 3を行ったあと、
自己へのヒントとして
語頭音を言い、呼称へつなげる
おわりに
今回は、
語彙選択について説明しました。
この障害により
呼称にて無反応や
tip of the tongueなどが出現します。
評価のポイントは、
親密度による差があるかないかです。
ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
下記の書籍を参考にさせていただきました。
読みやすい本ばかりですので、
気になる方は手に取ってみてください。
\まずはここから/
\なるほど失語症との親和性抜群/
\症例や訓練法が多彩/
今回紹介させていただいた
デジタル教材について
詳しく知りたい方や興味がある方は
下記からどうぞ。
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